ホルムズ海峡はペルシャ湾とオマーン湾を結ぶ海峡で、中東産原油の多くが通過する世界有数のエネルギー輸送ルートです。ホルムズ海峡のニュースは遠い国の出来事のように感じられますが、実は日本の透析医療とも深く関わっています。
透析で使用する血液回路やダイアライザー、注射器、手袋、包装材などの多くはプラスチック製で、原料は石油由来です。日本は原油輸入の約95%を中東に依存しており、その大半がホルムズ海峡を通過します。2026年には中東情勢の緊迫により航行が大きく制限され、医療材料の安定供給にも懸念が生じました。現在は各国の外交努力により限定的ながら航行が再開し、物流は徐々に回復しています。
透析医療はディスポーザブル(使い捨て)製品に支えられています。使い捨てである以上、安定した供給が不可欠です。原油価格が上昇すると影響を受けるのは原料だけではありません。プラスチック製造、工場の電力、海上輸送やトラック輸送、包装資材など、患者様のもとに製品が届くまでのあらゆる工程が石油と密接に結びついています。私たちが日々当たり前のように使用している血液回路は、世界情勢、化学産業、物流、医療機器メーカー、医療従事者など多くの人々の努力によって届けられているのです。
現在、透析医療に必要な材料はメーカーや関係機関の尽力により安定供給が維持され、安心して治療を受けていただける状況です。臨床工学技士は透析装置の安全管理だけでなく、災害や供給不足に備え、医療材料の在庫管理や使用状況の把握にも努めています。患者様が安心して透析を受けられる環境を守るため、これからも安全で安定した医療提供に力を尽くしてまいります。